少し前までの僕は、炊飯器すら持っていなかった。
朝はパン。昼はコンビニ。夜は外食。これで事足りる。洗い物もなくて、食事には最低限の時間しかかけない日々。それが悪かったわけではないけれど、今思えば少し味気ないし、何より健康にはあまり良くなかった。コストも余計にかかっていたと思う。
そんな僕が食事の大切さに気付けたのは、ある食器達のおかげだ。
彼らに出会ったのは、アウトレットだった。
一緒に行った友人から勧められて、ル・クルーゼのお皿を買ったのだ。
ル・クルーゼ?フランス?カラフルなお皿?ハテナマークばかりの僕だったが、友人が猛烈に勧めるので、「まぁ、家にいい皿ないし」ぐらいの感覚で買ってみた。
朝にパンを食べるときにでも使えばいいやと思っていたが、少々「洗うのも手間だなぁ」という思いもあった。余談になるけど、購入後アウトレットを歩くのがキツかった。重い。新しく買いに行く人は最後に買いましょうね。
最初に自分の中の変化を感じたのは、家に帰って取り出して洗うとき。きらりと輝くそいつらに目を奪われた。元から雑貨などが好きだった僕にとって、その輝きはハマるのに十分な理由になった。テンションが上がる。
一番よく見える棚に飾った。
次の朝、そのお皿を使って何かを食べることにワクワクしている自分がいた。たったお皿一枚なのにね。
食パンを焼く。棚から一番お気に入りのお皿を取り出す。黄色。氷をぶち込んだコップに浄水器から水をたっぷり注ぎ、飲み干す。きらり、朝日に照らされて、そのお皿がまた輝いた。
いつもの食パン一枚なのに、ワクワク感が半端なかった。「ここに目玉焼きとかウインナーとかあるといいよなぁ」と初めて思った。次の休みに鉄のフライパンを買った。今苦戦しながら、やっと目玉焼きがこびりつかなくなった。
そこからの変化は早かった。怒涛だった。朝のパンに目玉焼きがつくようになった。昼や夜にはなんちゃって料理を始めて、なんとスーパーに行くようになった。肉の違いもわからなかった私が、焼く肉を選ぶようになった。おかげで、外食をしなくなった。
なんだかすこぶる体調が良くなった。あれだけ面倒臭かった洗い物が、本当ちょっぴりだけどそのお皿に触れられる癒しの時間になった。決してあやしい意味ではない。
一つのアイテムが、僕の生活を変えた。
料理ってやってみると面白いんだよね。試行錯誤する楽しみ。成し遂げたときの喜び。昔は「無駄だ」ぐらい思っていた料理に時間を割くようになった。
「人生ってわからないものだなぁ」と思いながらも、悪くなかった。「パートナーに料理して欲しいって思っている人がいたら、いい食器や調理道具を買えばいいのよ」と誰かわからんけど声が聞こえた。
食器は食事を変え、食事は人生を変える。
そんな名言っぽい言葉を思いつかせてくれた素敵なお皿達に感謝である。そのうちル・クルーゼファミリーのレビューも買いていきたい。書きたいことが山ほどある。こんな楽しみまでくれてありがとう。
・色味が素敵
・オシャレだから使いたくなる
・美味しくなった気さえする
・保温も流石。
今日の食事の時間も楽しみだ。